愛を語る人

愛を語る人がいた。みんなを集めて語っていた。そしたらネズミが現れて、その人の足を噛んだ。愛を語る人、飛び上がるほど痛かったけど、我慢した。みんなはそれに気づかなかった。演台があったから、かくれていたし。愛を語る人、頑張っていた。今度は、後ろの黒板が剥がれて倒れてきた。そんなことってめったにないことだ。愛を語る人を直撃した。もちろん後ろから。さすがに、今度はみんなも見てた。愛を語る人より先に気づいたけど…。それで、一旦、愛を語るのが中断された。みんなは続きを聴きたかったので、黒板の破壊を我先にと手伝った。果たして、黒板はこまかい木片にされて、きれいにまとめられた。もちろん愛を語る人も自分が図らずもぶち抜いた黒板の穴からすぐ救出された。幸いたいしてけがはなかった。こうして、みんな気を取り直して、愛を語る人の話をきこうとした。愛を語る人、くしゃみをした。黒板のチョークの粉をまともに吸い込んでいたから。そしたら、今度は、愛を語る人、くしゃみが止まらなくなって、愛を語れなくなった。でも、みんなは、そのくしゃみも愛を語っているモノだと思った。愛を語る人は苦しかった。くしゃみが止まらないのと、愛を語れないのと。けど、自分がくしゃみするのをみんなが真剣に見ているのに気付いた。それで、くしゃみをし続けた。みんな、じっと、今までの話より長い時間くしゃみを聴いていた。最後のくしゃみが終わった。愛を語る人はへろへろだった。みんなは、そのあとかき氷を食べに行った。