青い光と黒い雑木林の記憶

夜明け前の小さな紙芝居(2017)Fuku Ikeda, India ink, mineral pigment, 14x21cm
夜明け前の小さな紙芝居(2017)Fuku Ikeda, India ink, mineral pigment, 14x21cm

 

 

青い光と黒い雑木林の記憶

 

子どものころ、なかなか明けない夜。

薄い青い光、もうすぐ夜が明けるか、明けないか。

いや、まだまだ明けないな。

だれも起きていなくて、私は音をたてないように外へ出て、裏の雑木林に行く。

夜明け前の小さな紙芝居(2017)Fuku Ikeda, India ink, mineral pigment, 14x21cm
夜明け前の小さな紙芝居(2017)Fuku Ikeda, India ink, mineral pigment, 14x21cm

 

 

黒い木々の間は薄い青い質量のないジェルで満ちていて、

昼間とは違う木々と、昼間とは違う私がいる。

ともに息をひそめて、音をたてないようにしている。

下草がびっしり生えているところで、しゃがんで、青い水仙のにおいをかいで、

それから、はっさくの木を触って、それから、メダカのいる大きな火鉢を触って、

だんだん寒くなってきたから、

帰った。

夜明け前の小さな紙芝居(2017)Fuku Ikeda, India ink, mineral pigment, 14x21cm
夜明け前の小さな紙芝居(2017)Fuku Ikeda, India ink, mineral pigment, 14x21cm

 

 

子どものころの私の家は、古いあまり光の入らない民家で、

使っていない部屋も多くて、その中に、ボロボロの離れがあって、

よく、家にだれもいない日中にそこへいった。

中は、早くに亡くなったおじさんのいろんなものが置いてあって、

おじさんは、16の時に亡くなったらしい。

昼間も暗くて、

おじさん、鳥がすきで、鳥を飼っていたらしく、そのときの古い鳥かごがあって、

あと、古いオルガンもあって、下の三つほどは音が出なくて。

夜明け前の小さな紙芝居(2017)Fuku Ikeda, India ink, mineral pigment, 14x21cm
夜明け前の小さな紙芝居(2017)Fuku Ikeda, India ink, mineral pigment, 14x21cm

 

 

私が一番好きだったのは、やっぱり、窓辺で、

青い網戸が入っていて、だから、青い光が入ってくる。

その向こうの格子のはりがねはかなり荒く編んであって、私の好きな感じだった。

はりがねは、錆びきって、もろもろだった。

家の中の窓の桟に、

ちっちゃい赤アリが、チキチキ列をつくって歩いていた。

そんな窓辺で、裏の雑木林を青い網戸ごしに見るのが好きだった。

 

青い光と黒い雑木林の記憶